「今日は単なる新製品発表ではない。我々は,日本市場でもSAPやオラクルと闘う準備ができたことを宣言する」--。ERPパッケージ(統合業務パッケージ)大手,米ピープルソフトのクレイグ・コンウェイCEO(最高経営責任者)は10月3日,CRM(顧客関係管理)用ソフト「PeopleSoft 8 CRM 日本語版」の発表会場でこうぶち上げた。

 PeopleSoft 8 CRM 日本語版は,日本法人の日本ピープルソフトが12月に出荷を開始する。これにより同社は「業務用パッケージ分野をすべて網羅する」(コンウェイCEO)。日本ピープルソフトはERPパッケージ「PeopleSoft 8」のほかに,SCM(サプライチェーン管理)用ソフトも出荷済みだ。今回のCRM用ソフトの出荷で,「日本市場でもSAPやオラクルと肩を並べることになる」(同)。

 PeopleSoft 8 CRMの特徴は,PeopleSoft 8と同様に,Webブラウザからすべての機能を利用でき,クライアント・パソコン上に専用ソフトをインストールする必要がないことだ。コンウェイCEOは,「“100%インターネット”対応のCRMソフトを手がけているのは当社だけだ」と自信を見せる。さらに,PeopleSoft 8とあたかも同一のソフト製品のように密接に連携し,リアルタイムにデータをやり取りできるという。PeopleSoft 8 CRMは従来版の「Vantive Enterprise」を,PeopleSoft用の開発・実行環境「People Tools」上で全面的に作り直し,製品名を改称したものである。

 冒頭のコンウェイCEOの強気の発言は,単にPeopleSoft 8 CRMの機能が優れていることだけから来ているのではない。先行出荷している欧米で高い評価を受けていることも理由の一つだという。「出荷後3カ月でユーザー企業125社を獲得した。さらに,500社以上から問い合わせがあり,前向きに検討してもらっている」(コンウェイCEO)。日本市場での販売目標については「数値は明言できないが,とにかくたくさん売りたい」(同)。

戸川 尚樹=日経コンピュータ