伊藤忠テクノサイエンス(CTC)とシーティーシー・ラボラトリーシステムズ(CTCLS,http://www.ctc-g.co.jp/pub/Member/CTCLS/),日本オラクルの3社は,製薬事業者向けに臨床試験のデータ管理を支援するためのソフトウエア「Oracle Clinical マルチリンガルバージョン」を共同で開発した。10月4日から出荷を開始する。新薬の開発を行う事業者向けに販売する。

 最大の特徴は,臨床試験で得られる膨大な量の実験データを一元管理できること。これにより,製薬事業者は新薬開発に必要不可欠な臨床試験の工程を短縮できるという。臨床試験とは,新薬の効果や安全性を確認するために実施するためのもので,実施期間は数年にも及ぶ。「新薬を開発するためには,臨床試験の期間も含めて12~15年かかることもある。これを5~8年に短縮することを目指して,Oracle Clinical マルチリンガルバージョンを開発した」(CTCLSの住野紘一社長)。このほか,日本語で入力されたデータを自動的に英語に変換する機能も搭載。日本語の実験結果を英文に変換して米国に集約するなど,国際的な新薬の共同開発作業を実現できるようになるという。

 日本オラクルは今後,Oracle9iのような汎用製品に加えて,専門分野に特化した製品を強化していく方針だ。「Oracleデータベースの提供で蓄積してきた信頼性や可用性などを生かして,汎用製品では適用が難しいと言われる専門分野向けの製品も積極的に提供していきたい」(日本オラクルの新宅正明社長)。

 得意分野を明確にするという点では,CTCも同様の考えだ。「専門分野に特化した関連会社を保有するなど,専門業務に関して高いスキルを保有している」(CTCの後藤攻社長)ことを生かして,製品やサービスを提供していくという。

大和田 尚孝=日経コンピュータ