「多くの日本企業がカスタマ・リレーションシップ・マネジメント(CRM)システムを導入しようとして失敗している。それは,導入する企業の体質に問題があるからだ。失敗する企業は,CRMを使って何を知りたいのかが明確でない」。KPMGコンサルティング(http://www.kpmg.co.jp/)の丸山悟ディレクターはこう指摘する。

 CRMシステムを何のために導入するのかという認識を持つために,「CRMを,企業のブランドを作るためのマーケティング手法と考えるのがよい」と丸山氏は説明する。企業のブランドを確立しようという目的意識があれば,「CRMシステムを使って知りたい項目が出てくるはず」(丸山氏)というわけだ。

 CRMシステムを使うと,アンケートなどにより,顧客の意見や感想を吸い上げることができる。アンケートから明らかになった「顧客が満足している部分」を前面に出せば,自社の製品・サービスのブランド力を高めることにつながる。

 丸山氏は,ブランドが持つ消費者の購買意欲をかきたてる力を「ブランド力」と呼ぶ。ブランド力と顧客満足度は高い相関関係にある。さらに,ブランド力のある企業は価格競争でも負けないという。同氏はブランド力の構築を企業経営における最重要事項と位置付ける。

 ブランド力やブランドの価値は,顧客が繰り返し製品・サービスを使うことで高まる。こうしたこともあって,「CRMをカスタマ・リピート・マーケティングと読み換えることを薦めている」(丸山氏)(矢口 竜太郎=日経コンピュータ