イオンの岡田社長 「ITによって日本的商習慣を打破し,10年後の“グローバル10”入りを目指す」。流通大手イオン(旧ジャスコ)の岡田元也社長はこうぶち上げた。9月4日にグループ全体の今後のIT戦略構想を発表した際の発言だ。「例えば,在庫管理用のシステムを充実させて,(卸の在庫調整機能を代替することで),メーカーとの直接取引を加速する。流通業務向けマーケットプレイスWWREの利用もいっそう増やす」と語る。

 イオンの構想は2004年までの3年間でグループの主要システムを全面刷新するというもの。マーチャンダイジング(商品構成支援),物流,顧客管理,バックオフィス(後方事務)の4システムを350億円かけて作り直す。システムの全体像のとりまとめは,米国のコンサルティング会社カート・サーモン・アソシエイツに委託した。マーチャンダイジング・システムは米JDAソフトウェアの製品を使って構築する。システム構築には日本IBMや日立製作所,富士通など9社が参画する。すでにマーチャンダイジング・システムはアパレル部門の一部で稼働している。

 岡田社長は「今回のシステムが完成すれば,勘に頼った経営から数字に裏付けられた効率的な経営に変えられる」と期待する。「当社の販売価格は世界的な水準にまで下がったが,コスト的にはまだまだ高い。本当に世界水準のコストを達成するには,今回の情報システムが必要になる」と強調した。

島田 優子=日経コンピュータ