ケーブルテレビ局の統括運営会社,ジュピターテレコム(J-COM)の担当者が,低価格で最大8Mビット/秒を売り物にするヤフーのADSLサービス「Yahoo! BB」への対抗策を明らかにした。J-COMの地平茂一企画部課長によると,「CATVインターネットでも,モデムを変更すれば最大8Mビット/秒までの速度を出すことが可能」という。

 現在,J-COMが展開するCATVインターネット・サービスでは,最大通信速度が2Mビット/秒となっている。これは,「ネットワークの混雑の度合いによって,通信速度が急激に速くなったり遅くなったりしないよう,各家庭に設置するケーブル・モデムで通信速度を制限しているため」(地平課長)である。このモデムを変更することで技術的には最大8Mビット/秒まで高速化が可能となり,CATV網内のトラフィックが増大した場合でも,局側に設置する集合型ケーブル・モデム(CMTS)を増設すれば解決できるという。ただし,サービス高速化の時期は未定である。

 一方,料金面については,J-COMが関東地方で提供しているCATVインターネット・サービス「J-COM Broadband 東京」の場合で現在,月額料金は5800円。これはYahoo! BBなどのADSLサービスと比べると割高に見える。しかし,J-COMの地平課長は「テレビとしてのCATVや,格安の電話サービスとセットにしたときの料金を見てもらえば,それほど割高ではないことが分かるはずだ」と語る。

 月額料金の5800円の中には,最大5個のメール・アドレスを利用できたり,Webサイトを開設できるサービスの利用料や,モデムのレンタル料,プロバイダの利用料が含まれている。また,CATVのテレビ受信や電話サービスとセットにした場合は700円が割り引きになる。「現在でも実効速度が平均1.7Mビット/秒で,実際の使い勝手はADSLとさほど変わらない。それに加えてCATVインターネットでは様々なサービスが受けられることを今後は強くアピールしていきたい」(地平課長)。

坂口 裕一=日経コンピュータ