旅行業界のポータル・サイト「Travel Answer」を運営するビィー・フリーソフト(http://www.be-free.co.jp/)は2002年初頭にも,次世代デジタル・テレビ放送(東経110度CS放送)を通じて旅行の予約や旅行情報の参照を可能にする新サービスを提供開始する。

 松下電器産業,東芝,ソニー,日立製作所などが出資するイー・ポート・チャンネル(東京都中央区)が提供する次世代デジタル・テレビ放送のコンテンツとして提供される。同放送は2002年4月の開始を予定しているが,2002年初頭にも始める試験放送の時点で,新サービスを利用可能にする計画だ。

 新サービスは,次世代デジタル・テレビ放送で提供する予定の「蓄積型データ放送サービス」を使って実現する。蓄積型データ放送サービスは,放送受信機(セットトップ・ボックス)にハードディスクなどを内蔵し,放送を通じて受信した音声や動画,文字データなどを蓄積して利用可能にするもの。

 イー・ポート・チャンネル向けのイー・セットトップ・ボックス(開発名,他のBSデジタル放送や東経110度CS放送も受信できる)は,40GBのハードディスクを搭載している。このうち20GBを視聴者が番組録画などの用途で使用でき,残り20GBをコンテンツ提供事業者が使用できる。コンテンツ提供事業者は20GBの一区画を購入し,その範囲内で自由にコンテンツを提供したり,データを更新したりできる。

 ビィー・フリーソフトはコンテンツ提供者向けの20GBの一区画を購入し,新サービスを提供する。あらかじめ視聴者のセットトップ・ボックスに,Travel Answerの旅行予約画面や観光地案内といったデータを送信しておく。視聴者は旅行番組を見ている最中など,旅行の予約をしたくなったときに,すぐその場で旅行の予約画面にアクセスできる。セットトップ・ボックスは56kビット/秒以上のモデムを搭載しており,視聴者が予約に必要な情報などをインターネット回線を通じて送ることも可能だ。

 ビィー・フリーソフトは,次世代デジタル・テレビを利用した新サービスの狙いを,「特に,パソコンをあまり使っていないシニア層に旅行販売のチャネルを広げられる。加えて,家族団らんの場での旅行予約といった,これまでにない形の旅行予約が増加することも期待できる」(清水健一販売促進本部リーダー)と話す。同社は,旅行の予約のほかにも様々な使用方法を考えているという。「例えば,旅行添乗員にビデオカメラを持たせ,その画像をビィー・フリーソフト上のサーバーに蓄積することも考えている。視聴者は現地の最新の情報を手に入れやすくなる」(綿引隆一代表取締役)。

島田優子=日経コンピュータ