米IBMは2002年3月にも,メインフレーム「e server zSeries 900」のユーザーがWebページを通じて,利用可能なプロセサ数を自分で変更できるサービスを開始する。必要に応じて利用可能なプロセサ数を変えられる「キャパシティ・オンデマンド」と呼ぶ仕組みを改良するもの。同サービスはzSeriesに加え,旧型機のS/390 G5と同G6にも適用する。日本でも,ほぼ同時期に新サービスを開始する見込み。

米IBMのダン・コルビー ゼネラル・マネジャ 新サービスでは,zSeriesのユーザーごとの専用のWebページを用意する。ユーザーはWebページ上での操作だけでプロセサ数を増加できるようになる。現状では,ユーザー企業がIBMに連絡して,IBMの担当者がオンラインでプロセサ数を増加させる処理を実行する必要があった。

 メインフレーム事業の総責任者を務めるダン・コルビー ゼネラル・マネジャによると,IBMのメインフレームの売上高は3四半期連続で2ケタ成長を記録した。2001年前半の出荷MIPS値は,前年同期比で42%増えたという。

 好調の理由は,メインフレームの新たな利用分野を開拓できたことという。「2000年10月に市場に投入したzSeries 900は,その50%がインターネット・ビジネスのインフラやLinuxを動作させるプラットフォームとして使われている。こうした傾向は,過去10年なかった」(コルビー氏)。

 コルビー氏は,zSeries 900のライバルは,米サン・マイクロシステムズや米ヒューレット・パッカードのハイエンドUNIXサーバーと語る。しかも,zSeries 900は,これら2社のハイエンドUNIXサーバーと比べても,好調という。

米IBMのジョン・モリス副社長 メインフレームの販売とマーケティングを統括するジョン・モリス副社長は,この要因を「世の中が不景気だから」と分析する。「同じシステムを構築した場合,zSeries 900は設置面積,消費電力,運用管理コスト,いずれをとっても他社のUNIXサーバーより優れている。景気が厳しくなれば,ユーザーはコストに対してよりシビアになり,zSeriesが有利になる」(モリス氏)。

 もっとも,zSeriesの好調は,ユーザー企業の状況におうところもある。「サンの主要顧客は,いわゆる“ドット・コム企業”。IBMの顧客は,サンに比べてドット・コム企業が少ない」(コルビー氏)。つまり,サンはネット・バブルが崩壊してドット・コム企業が凋落した影響をもろに受けたが,IBMはその影響があまりなかったということだ。

玉置 亮太=日経コンピュータ,米ニューヨーク