
「ケータイにも“Windows”を載せる」,米マイクロソフトがモバイル分野に本腰
「これまでマイクロソフトは,モバイル分野では出遅れていた。しかし,次世代戦略Microsoft.NETの狙いは,『いつでもどこでも誰でも,必要な情報にアクセスできる環境を提供する』こと。このビジョンを実現する上では,モバイル分野こそが要となる」。こう語るのは,米マイクロソフトでモバイル関連製品のマーケティングを担当するユハ・クリステンセン副社長(写真)である。
米マイクロソフトは最近になって,モバイル分野の製品開発を急ピッチで推し進めている。携帯電話やPDAなどのモバイル端末向けOSや,データ変換用のサーバー・ソフト,アプリケーション開発者向けの基本サービス群などを提供する考えだ。
中でも注目すべき製品は,マイクロソフトにとって初挑戦となる携帯電話向けOS「Stinger(開発コード名)」だ。Stingerは“携帯電話版Windows”とも言える製品。Stingerを搭載した携帯電話では,ワープロや表計算といったOffice文書を参照したり,電子メール・クライアントのOutlook Expressを使ってメールを送受信できる。動画ファイルや音楽ファイルを再生したり,ゲームなどのアプリケーションを動作させることもできるという。
日本の「iモード携帯電話」や,米国のPDA「Palm」といったモバイル端末が普及した最大の理由は,あえて機能を絞り込んで簡便な使い勝手を実現したことにある。これに対して,マイクロソフトは携帯電話やPDAといったモバイル端末でも,得意の“リッチ・クライアント”戦略を推し進める考えだ。
クリステンセン副社長は,「Palmが市場に受け入れられたのは,とてもシンプルだったからだ」と認めつつも,「それはマーケットがまだ未成熟であることを意味する」と続ける。「市場が成熟すれば,ユーザーのニーズはいっそう多様化する。StingerやPocketPCは高いフレキシビリティを備えており,様々なニーズにも柔軟に対応できる」(同)。
Stingerの提供予定は2002年初め。当初は欧米の携帯電話会社向けに提供する。すでに英ボーダフォンなど,マイクロソフトと提携した4社が,Stinger搭載機の出荷を予定しているという。
一方,日本国内に限っていえば,Stingerは相当の苦戦を強いられそうだ。すでにJavaを搭載した携帯電話の事業を展開している国内の通信事業者が,即座にStingerを自社の携帯電話に採用するとは考えにくい。これに対してクリステンセン副社長は,「日本市場へのStinger投入は,携帯電話会社との交渉次第だ。StingerはJava搭載の携帯電話よりもはるかにリッチで,進化したモバイル環境を提供する。見通しは明るいと思っている」と,強気の姿勢を崩さない。
(玉置 亮太=日経コンピュータ)
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