マンションに特化してブロードバンド接続サービスを提供するパワーバンド コミュニケーションズ(http://www.powerband.ne.jp/)が事業の現状を明らかにした。同社は6月1日のサービス開始以降,既に300棟のマンションでサービスを提供している。今後,サービスを提供するマンションを増やしていき,2002年初頭には東京都内を中心に2万ユーザーの獲得を狙う。

 ブロードバンド・サービスのバックボーン回線には,親会社のパワーバンド(横浜市港北区)が敷設したCATVの同軸ケーブルや光ファイバを使う。このバックボーン回線をマンションに引き込んで,マンションに設置したHomePNAの通信機器と接続している。HomePNAは,マンション内の既存の電話線を使ってデータ通信するための技術である。最大通信速度は1Mビット/秒だが,同様に既存の電話線を使って高速通信を実現するADSL(非対称デジタル加入者線)やVDSL(超高速デジタル加入者線)を使って,8M~10Mビット/秒の通信を実現する計画もある。

 パワーバンド コミュニケーションズはコストの安いCATV網をバックボーンに利用し,マンションの密集地域にターゲットを絞ってサービスを展開することで,先行するADSL事業者に対抗する。「マンション1棟あたり3~4ユーザーがいれば採算がとれる。マンション内に他社のADSLサービスを利用している人がいても,サービスを提供する上で特に問題はない」(ロデリック・ボスCEO=最高経営責任者)。マンションに機器を設置するには管理組合の承諾が必要だが,「管理組合側が機器のコストを負担するわけではないので,おおむね了承してもらえる」(森正彦COO=最高執行責任者=兼オペレーション事業部長)。

 利用料金は基本接続料が月額4300円,HomePNAのモデム使用料が月額400円,契約時の初期費用が1万5000円。サービス地域は,今後大阪府や愛知県などのCATV事業者と提携して拡大していく。

坂口 裕一=日経コンピュータ