ボーランド(http://www.borland.co.jp/)は7月9日,ビジュアル開発ツールの新版「Borland Delphi6」を発表した。7月25日に出荷開始する。同社の安藤由男社長は「Delphi6で,ようやくVisual Basic(VB)に対するアドバンテージがそろった。今度こそ,VBからDelphiへの乗り換え促進に本腰を入れる」と意欲を見せる。

 Delphi6が持つVBに対するアドバンテージとは,以下の3点。第1に,Webサービスをビジュアルに開発できる。XMLやSOAP,WSDLに対応したWebサービスを作成するコンポーネントを新たに搭載する。「Webサービスのビジュアル開発機能を実現した開発ツールは,おそらく初めて。少なくとも,ここまで簡単に作成できるツールは存在しないはずだ」(大野元久 営業本部マーケティング部Delphiプロダクトマネージャ)。
 
 第2に,WindowsとLinuxの双方で動作できるアプリケーションを作成できる。同社のLinux用ビジュアル開発ツール「Kylix」が備えるソフト部品のCLX(クリックス:Component Library for Cross Platform)を用いる。

 第3に,無償版を提供すること。「すでにJava開発ツール『JBuilder』の最下位版を無償ダウンロード可能にしているが,とても好評だ。Delphiをより多くのユーザーに使用してもらうために,無償でも提供することにした」(安藤社長)。

 Delphi6は,Personal,Professional,Enterpriseの3製品で構成する。Personalはエントリ版で,無償ダウンロードあるいはマニュアル付きのパッケージ(4800円)で提供する。無償ダウンロードは,7月から9月の間に開始する予定。

 中位版のProfessionalは6万8000円。ただし,7月18日から12月18日までは乗り換えキャンペーンを実施する。期間中には,「Visual Basic」や「Visual C++」などの正規ユーザーはProfessionalを4万8000円で購入できる(ボーランドストア(http://store.borland.co.jp/)で購入する場合のみ)。最上位版のEnterpriseは36万円。いずれも,Windows 98/Me/2000/NT 4.0(SP5)で動作する。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ