沖電気工業とKDDI研究所は7月2日,2001年度下期中をメドに携帯電話の音声認識サービスを実用化すると発表した。沖電気は,KDDI研究所が開発した音声認識エンジンを使って,携帯電話の利用者向けに「ITS(高度道路交通システム)音声ポータルサービス」を提供する。ITS音声ポータルサービスは,利用者が携帯電話からセンターに電話をして目的地を告げると,自動音声などで目的地までの道案内を提供するサービス。「サービス開始時のコンテンツは,ゴルフ場,観光地,イベント情報などになる予定」(沖電気工業の片山洸交通システム事業部長)。

 これまで携帯電話を使った通話での音声認識は,雑音が多いことや,音声の圧縮技術にばらつきがあることなどから困難とされていた。今回,KDDI研究所は通話中の雑音を抑え,音質を補正する技術を導入。実用化レベルの音声認識を可能にした。携帯電話の種類や機種は問わずにサービスを利用できるという。

 沖電気とKDDI研究所は従来から,CTI(コンピュータ・テレフォニ統合)の分野で提携し,KDDI研究所の音声認識エンジン「SpeechSeeker」を沖電気のCTI製品「CTstage」に搭載して販売していた。今回はSpeechSeekerが備える雑音排除機能を強化して,携帯電話向けの新しい情報提供サービスに共同で取り組むことになる。

 沖電気は,iモードなどのデータ通信機能の代わりに音声で情報サービスを提供することについて,「自動車を運転中の人や,携帯電話の文字入力の方法が分からない老人などに需要がある」(片山事業部長)と説明する。沖電気は今回のITS音声ポータルサービスを有料とし,年間20億から30億円のコンテンツ収入を見込む。

(島田 優子=日経コンピュータ