SNIAのラリー・クランツ会長 「今後はストレージをネットワーク経由で利用するのが当たり前になる。現在に比べてストレージの構造は格段に複雑になるが,その使い勝手は大きく向上するだろう」。ストレージ専門ベンダーなどで構成する業界団体「SNIA(ストレージ・ネットワーキング・インダストリ・アソシエイション)」のラリー・クランツ会長(写真)は,ストレージの未来をこう予測する。「すべてが手動だった時代には,飛行機の操作はとても煩雑だった。ところが,現在の飛行機は以前とは比べものにならないくらい機能が増えているにもかかわらず,ほとんどの操作は自動的に行われる。ストレージの世界でも,全く同様のことが起こるだろう」(同)。

 クランツ会長がこう予測する背景には,SNIAが策定している各種の規格がある。例えばSNIAは,SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)に接続されたディスク装置からテープ装置へデータを直接バックアップするための規格を策定した。この企画に準拠したバックアップ・ソフトを使えば,「サーバーはバックアップの負荷から解放され,プロセサの能力をより有効に活用できる」(クランツ会長)。

 現在,SNIAが策定を急いでいる規格の一つが,ストレージをインターネット経由で管理するための技術である。ストレージやネットワーク機器のハードウエア情報をXML(エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ)形式に変換し,インターネット経由で送受信できるようにする。この技術が実現すれば,「世界中のストレージを,1カ所から管理できるようになる」(クランツ会長)。

 SNIAはすでに全米6カ所と欧州1カ所を結んで,この管理技術の実験を実施した。早ければ2年以内に,この技術を採用した管理ツールなどが登場するという。今後はストレージの容量拡張や管理を自動化するための規格の策定にも力を注ぐ。

 なお,SNIAは今年8月をメドに日本支部を設立する。すでにイーエムシー ジャパンや日本IBMなど20社が,参加を表明している。SNIA日本支部は,ストレージ関連情報の発信や,日本でのSAN活用事例の発掘といった作業を行う。

玉置 亮太=日経コンピュータ