「データセンター事業は今,いかに付加価値の高いサービスを提供できるかが,焦点になりつつある。通り一遍のサービスでは意味がなく,海外と同等の,高レベルのセキュリティ・サービスを日本で提供する必要がある」--米エクソダスコミュニケーションズ日本法人(http://www.exodus.co.jp/)のラッセル・ゲスリング プロフェッショナル サービス本部長は,日経コンピュータの記者に対してこう語り,データセンター事業が新たな競争フェーズに入りつつあることを強調した。

 同氏によると,高速の通信網や安定した電力,安全なビルなどを提供することは,データセンター事業者ににとっては当たり前のこと。それに加えて,どんな付加価値サービスを提供できるかが,「顧客獲得や既存顧客の満足度の向上に大きく影響する」(ゲスリング本部長)。

 6月21日に発表したインターナショナル・ネットワーク・セキュリティ(http://www.insi.co.jp/)との業務提携も,背景にはこうしたサービス競争があるという。「顧客企業からは現在,電子商取引サイトのセキュリティ対策の強化,不正侵入に対するシステムのぜい弱性の検査など,セキュリティ・サービスへのニーズが高まっている。それを提供するには,高度な知識を備えるセキュリティ専門家が必要だが,自前でそろえるのは時間がかかる。そこで専門家を抱えるINSIに協力してもらうことにした」(ゲスリング本部長)。

 INSIの佐藤英明CEO(最高経営責任者)は,「データセンターの利用企業にとって,セキュリティ問題は今後ますます重要になる。当社が持つ不正侵入の検知やぜい弱性の検査などのノウハウを使うことで,より高いシステムの信頼性を確保できる」と語る。またINSIは自社の顧客企業に対して,エクソダスのホスティング・サービスなどを提案していく考えだ。

西村 崇=日経コンピュータ