日本ヒューレット・パッカード(HP),インテル,日本オラクルの3社は,インテルの64ビット・プロセサ「Itanium」の早期普及を目的とした活動を共同で展開することで合意した。具体的には,Itanium搭載サーバー,HPの64ビットOS「hp-ux11i」,オラクルの次期データベース製品「Oracle9i」を組み合わせた環境向けにアプリケーションを開発するソフトウエア・ベンダーやシステム・インテグレータを技術的に支援するための組織を共同で運営する。

 まず6月21日から,Itanium搭載サーバーの実機によるアプリケーションの動作検証,Itanium向けにアプリケーションを最適化するための技術支援,hp-ux11i版のOracle9iに関する技術支援といった活動を行う。その際は,日本HPが2000年7月に開設した,開発者向けの技術支援施設「PTAC(パートナー・テクノロジ・アクセス・センター)」を利用する。日本オラクルはOracle9iを7月中旬に発表し今秋に出荷する計画だが,それに先だって近くアプリケーション開発会社向けに評価版の提供を始める。

 続いて9月から,インテルが独自に,hp-ux11iを搭載したItaniumサーバー向けにアプリケーションを最適化するためのコンサルティング・サービスを提供する。その後,2001年内にPTACの活動を,日本HPと日本オラクルが2月に共同で開設した「MCCC(ミッション・クリティカル・サーティファイド・センター)」に移管する。

 今回の3社による共同活動は,日本国内に限定したものであり,世界各国で同様の活動をするかどうかは決まっていない。「日本で具体的な支援活動を確実に実施するために,今回の共同活動を立ち上げた。Itaniumに関しては30社のハードウエア・ベンダーと協力関係にあり,今後ほかのベンダーとも同様の活動をしていく」と,インテル日本法人のジョン・アントン社長は説明する。

 HPのItanium搭載サーバーでhp-ux11iを使えば,HPの独自プロセサである「PA-RISC」搭載サーバー用のアプリケーションは,そのまま動作する。ただし,ItaniumがPA-RISC用の命令コードを実行する機能を備えているわけではない。HPが開発した専用ファームウエアを使って,アプリケーションの実行時にPA-RISC用の命令をItanium用に動的に変換する。このため,hp-ux11iおよびhp-ux11i用アプリケーションを利用できるのは,HPあるいはHPからこのファームウエアの提供を受けるメーカーが製造するItanium搭載サーバーに限られる。

中村 正弘=日経コンピュータ