独SAPのベルナルド・サンチェス バイス・プレジデント 「北米のCRM市場で当社は現在,米シーベルに次いで2番手。当社のCRMソフトのライセンス数は年率50%で伸びており,遠からず北米でトップになる日が来ると考えている」--ERPパッケージ最大手,独SAPでCRM分野を担当するベルナルド・サンチェス バイス・プレジデントは日経コンピュータ記者の取材に応じ,強気の見通しを語った。

 サンチェス氏は,強気の見通しの根拠はいくつかあると主張する。一つが8月に出荷を予定する統合型CRMソフトの新版「mySAP CRMバージョン3.0」。現行版と異なり,「R/3」以外のERPパッケージとデータ連携する機能を持つ。これによりSAP製品で統一している企業だけでなく,例えば米オラクルや米ピープルソフトなどのERPパッケージを導入している企業にも,CRM製品を売り込める。

 第2がワンストップ・ソリューションを提供できること。サンチェス氏は,「一口にCRMと言っても三つある」という。(1)日々の営業活動やコールセンター業務を支援するオペレーショナルCRM,(2)営業活動などを通じて収集した顧客データや販売データを分析し,新しいサービスや商品を開発するアナリティカルCRM,それに(3)ERPやSCMなど他システムとデータ連携するコラボレーティブCRM,である。「SAPは,これらのすべてに関して,ソリューションを提供できる。オペレーショナルCRMを専門とするベンダーとは異なり,総合力で勝負できるのが当社の強みだ」(同)。

 さらにmySAP CRMバージョン3.0を出荷するまでに,CRMシステムを構築するのに必要なソフトや方法論を整理して,「本当の意味でのCRMソリューションを提供する」(同)。しかしCRM分野で独SAPは,シーベルなどに比べて後発であることは確か。北米ではピープルソフトなど強力なライバルも少なくない。サンチェス氏のいう「総合力」を生かしてトップになれるのかどうか,道は決して平坦ではない。

戸川 尚樹=日経コンピュータ