米JDエドワーズのレス・ワイアットCMO ERPパッケージを手がける米JDエドワーズの今後の戦略が明らかになった。JDエドワーズのレス・ワイアットCMO(チーフ・マーケティング・オフィサ)は,「これまで培った中堅・中小企業向けビジネスのノウハウを生かし,今後も顧客の対象を中堅・中小企業に絞って事業を展開する」という。現在,同社の顧客企業は約6000社あるが,その多くが中堅・中小企業。JDエドワーズはこうしたメッセージを明確に打ち出すことで,主に大企業に向けてERPパッケージを売り込んでいる独SAPや米オラクルとの真っ向勝負を避けようというわけだ。

 JDエドワーズは中堅・中小企業向けビジネスを強化するために,「米IBMとの関係をより強固にする」(ワイアットCMO)。具体的には,JDエドワーズ製ERPパッケージ「OneWorld Xe」やSCP(サプライチェーン計画)ソフト「APS」を,IBMと共同で販売する。JDエドワーズ製ソフトの稼働プラットフォームについても,IBM製ハードウエアを推奨していく。特に「中堅・中小企業に人気のあるiSeries(旧AS/400)を当社製ソフトに最適な稼働プラットフォームと位置付け,iSeries上で処理性能が上がるよう,IBMと共同でOneWorld XeやAPSのチューニングをしている」(同)。2001年第3四半期までに,OneWorld XeやAPSをプリインストールしたiSeriesを,IBMとの共同ブランド製品として出荷する。

 さらに今後は,ERPとSCMの分野だけでなく,CRM(カスタマ・リレーションシップ・マネジメント)の分野についても新しい戦略を打ち出す。JDエドワーズは,ERPとSCMの分野では自社製ソフトを持つものの,CRMソフトは持っていない。「3年前,CRMソフトの自社開発に失敗した」(ワイアットCMO)からだ。

 現在,JDエドワーズはCRMソフトとして米シーベルの製品を販売している。しかし,シーベル製CRMソフトは「導入にかかる費用が高くつく傾向にあり,中堅・中小企業には必ずしも最適なCRMソフトとは言えない」(同)。そこで,JDエドワーズはシーベル製CRMソフトのほかに,中堅・中小企業向けに安価なCRMソフトを別途提供する見通しだ。ワイアットCMOは「今後6週間以内にCRM分野での新戦略を打ち出す計画」としている。

戸川 尚樹=日経コンピュータ