組み込み用Javaのセキュリティ機能強化に関して,アプリックス(http://www.aplix.co.jp/)とRSAセキュリティ(http://www.rsasecurity.com/japan/)が提携した。アプリックスが,同社の組み込み用Java実行環境「JBlend」にRSAセキュリティの暗号化ソフト「RSA BSAFE SSL-C」をオプション機能として取り込み,今秋から販売する。Java実行機能を備える携帯電話や各種家電機器のメーカーに売り込む。

 現在,RSAのBSAFE SSL-Cを搭載した機器は,パソコンを含めれば全世界で10億台を超えており,インターネット用暗号化ソフトの実質的な標準になっている。一方,アプリックスは組み込み用Javaの国内最大手。両分野の2強が手を組んだことで,携帯電話をはじめとするJava対応機器への暗号化機能搭載が加速しそうだ。

 BSAFE SSL-Cは,SSL(セキュア・ソケット・レイヤー)プロトコルを使って通信データを暗号化するためのツール・キット。同ソフトを組み込んだJBlendを使うことにより,例えばJava対応携帯電話は通信事業者やインターネット通販サイトとの通信を暗号化できる。128ビットの暗号化が可能。

 現時点でもJBlendとBSAFE SSL-Cを搭載した携帯電話はあるが,これまでは機器メーカーが両方のソフトをアプリックスとRSAセキュリティから別々に購入し,自社で動作を検証する必要があった。今後はアプリックスがBSAFE SSL-Cを内蔵したJBlendを販売する。「一つの製品として品質を保証できるので,機器メーカーは動作検証をする必要がなくなる」と,アプリックスの郡山龍社長は説明する。

 RSAセキュリティは,Javaの本家である米サン・マイクロシステムズにもBSAFE SSL-Cをライセンス提供しているが,組み込み用Javaベンダーと提携するのは,海外を含めても今回のアプリックスが最初。今後,アプリックス以外の組み込み用Javaベンダーとも「機会があれば提携していく」(RSAセキュリティの山野修社長)。

中村 正弘=日経コンピュータ