「2007年のパソコンが搭載するプロセサは,自然言語を認識し,日英のリアルタイム通訳をするだけのパワーを備える」。こうした予測を,米インテルのフォロー(特別研究員)のロバート・チャウ氏が示した。その根拠となっているのが,米インテルが6月11日(米国時間)に開発成功を発表したゲート長が20nm(ナノ・メートル)のシリコン・トランジスタ。同社は,このトランジスタをもとに2007年には10億個のトランジスタを集積し,20GHzで動作するプロセサを量産する計画。「製造技術的には,今よりも3世代先にあたるプロセサ」である。今年後半にも量産出荷が始める,最新のPentium4のゲート長は70nm,4200万トランジスタを集積し,最大2GHz程度で動作するとみられる。

 技術・製造本部ロジック技術開発部門トランジスタ研究担当ディレクタを兼務するチャウ氏は,「ゲート長20nmの20GHz動作プロセサが登場すれば,買い物をしたいときに,コンピュータに話しかければ,コンピュータがインターネットを検索して購入手続きまでしてくれるようになる」とみている。パソコン用マイクロプロセサを主力製品とするインテルだけあって,20GHz動作プロセサは,通常のデスクトップやノート・パソコンへの搭載を目指す。

 さらにチャウ氏は「トランジスタの微細化の限界はいまのところみえない。昨年12月にゲート長30nmのトランジスタを開発したときも,それ以上は無理と言われたが,今回20nmを実現できた」と,将来のプロセサ開発に自信を見せた。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ)