富士通は7月から,富士通が所有する磁気ディスク装置をユーザー企業が月額料金で利用できるようにするSSP(ストレージ・サービス・プロバイダ)ビジネスを開始する。SSPは,アプリケーションをネットワークを通じて利用可能にするASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)の“ディスク版”。国内では野村総合研究所(http://www.nri.co.jp/)や日立ネットビジネス(http://www.hi-nb.com/)がすでにSSPサービスを提供している。富士通は,米SSP大手のストレージネットワークスと提携し,先行各社との差別化を図る。

 富士通が提供する新SSPサービスの名称は「ストレージユティリティサービス」。富士通が提供するディスク装置は,ユーザー企業のサイトに設置することも,富士通が用意するサイトに設置してネットワーク経由で利用することもできる。ディスク装置の稼働状況を富士通のセンターから24時間365日監視するとともに,全国1000カ所に設置済みの保守拠点を利用することで,99.99%の可用性を提供する。

 ユーザー企業は,最低100GB,追加分は50GBを単位にして富士通と契約を結ぶ。契約した容量に応じて月額料金が決まる。「料金は個別見積もり」(富士通の松井正明システムサポート本部システム技術部長)で詳細は公表していない。富士通は当面,インターネット・データ・センター(IDC)業者が主要顧客になるとみており,IDC内の一角にディスク装置を設置する形態が多くなると予想している。

 利用するディスク装置は,富士通製のGRシリーズやNRシリーズを推奨する。ただし,ユーザー企業が米EMCや米サン・マイクロシステムズ製のディスク装置を希望する場合には,個別に相談に応じる。富士通はストレージユティリティサービスによる売上高として,2003年度に150億円を見込んでいる。

 ストレージネットワークスは富士通に対し,同社のディスク管理ツール「STORfusion」を提供する。STORfusionは富士通製ディスク装置のほか,EMC,サン,ヒューレット・パッカードのディスク装置を管理できる。ストレージネットワークスは,米メリルリンチや米ビザ・インターナショナル,米フォード・モーターなどの大手企業をはじめとする210社にサービスを提供している。

森 永輔=日経コンピュータ