NTT持ち株会社の傘下にあるNTT情報流通プラットフォーム研究所(http://www.nttv6.net/index-j.html)は6月1日,IPv6ネットワークで利用できるVPN(公衆網を実質的な専用線として利用するVPN)とマルチキャストの新技術を開発した。VPNの新技術は今後,NTTコミュニケーションズと竹中工務店が進めるIPv6の共同実験に適応していく。マルチキャストの新技術は,課金システムなどを追加し,1年後をメドに商用サービスとして利用できるようにする。

 IPv6でVPNを構築する新技術「DVPN(ダイナミック・バーチャル・プライベート・ネットワーク=開発コード名)」は,IPv6アドレスを持つパソコンが正規の端末であることを認証する仕組みと,IPv6の端末同士がセキュリティ保って通信する仕組みの二つからなる。このうち認証の仕組みは,ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)などがサービスとして提供することを想定している。

 「VPNに参加する端末を,パソコン1台単位で柔軟に決められる。これによりセキュリティも向上する」(NTT情報流通プラットフォーム研究所の三上博英次世代IP+プロジェクトグループリーダー主幹研究員)。現在のIPv4ネットワークで構築するVPNは,LAN間の通信を暗号化するものが主流。LANのなかでは,セキュリティを十分保つことができないうえに,インターネットとの接続部分にあるVPNゲートウエイに負荷が集中するという問題を抱えていた。

 コンテンツの同報に使う,マルチキャストの新技術「InfoPrism(開発コード名)」は,視聴者を限定した上で動画などをマルチキャスト配信できるもの。視聴者を限定する仕組みとして,動画コンテンツは共通鍵を使って暗号化して配信する。復号のための鍵は,コンテンツを視聴できる権利を持つユーザーだけに別途配信しておく。動画再生中に1分単位で共通鍵を変更することも可能で,スポーツ中継などのコンテンツを少しだけ見た場合でも,利用時間に応じた課金をすることができる。

坂口 裕一=日経コンピュータ