米IBM,富士通,日立製作所,NECのメインフレーマ4社が,Linuxの機能強化で提携した。Linuxを基幹業務向けに強化する作業を4社が分担することで,実用化時期の前倒しと,開発費用の削減を目指す。今回の提携は,あくまでもLinuxの機能強化に関するもの。一部メディアが伝えたような,Linuxベースの新OS開発を目指すものではない。4社は30日中に提携を正式発表する。

 今後,4社はLinuxに基幹業務向けの機能を強化するにあたって,各社の役割分担を明確にする。「IBMはトレース機能,富士通はログ管理機能」といった具合に,各社がそれぞれ別の機能を開発するよう調整する場を設ける。実際の開発作業は,各社の技術者が自社内で行う。会社を越えた技術者間の連携が必要な際は,インターネット経由でする。4社の技術者が一堂に会するセンターなどは設けない。

 さらに4社は出来あがった成果物をLinuxコミュニティに提案する前に,相互にレビューする。成果物が実際に基幹業務に適用できるかどうかや,各社の既存環境とスムーズに連携できるかどうか,などをチェックする。この過程を経てコミュニティに提案した成果物は,最終的にオープンソースとなる。4社は完成したものから順次提案をはじめ,今後2~3年で完成させる。

 メインフレーマ4社は,力の入れ具合に差はあるものの,Linuxを基幹業務向けに拡張してきた。「現在のLinuxは,障害発生の予防機能や修復支援機能が弱いので,そのままではメインフレームや大型UNIXサーバーが担ってきたミッション・クリティカルな基幹業務用途には適用できない」(関係者)からだ。しかし,似たような機能強化を各社が別々にするのは,開発効率が悪い。さらに機能強化の提案を受理・審査するLinuxコミュニティも混乱してしまう。このため,4社は今回の共同作業に合意した。

星野 友彦=日経コンピュータ