オージス総研(http://www.ogis-ri.co.jp/)は,米国ベンダーが開発したオブジェクト指向設計ツール「Cittera」を国内で販売することを決めた。6月に正式発表し,9月から出荷する。「当社は10年以上にわたりオブジェクト指向技術の普及に取り組んできた」と千藤雅弘社長自らが自負するように,オージスはこの分野の老舗。これまでは米ラショナル・ソフトウエアの「Rational Rose」を担ぎ,ラショナルと合弁会社まで設立していた。しかしラショナルが自ら日本市場を開拓するために,オージスとの関係清算を望んだため,オージスは今年3月以降,Rational Roseの販売を事実上止めていた。

 オージス総研の拡販努力もあって,現在オブジェクト指向設計ツールの分野では,Rational Roseが圧倒的なシェアを誇っている。そのRational Roseに替わって,オージス総研が新たに販売する「Cittera」は,米キャニオンブルー(http://www.canyonblue.com/)の製品。キャニオンブルーのN・ヴェヌ・ゴパル ディレクタは,「Rational Roseを超えた製品」と豪語する。オージスは出荷後1年間のCitteraの売り上げを3~4億円と見込んでいる。オージスはCitteraの国内販売権を取得しただけでなく,キャニオンブルーにも出資して,ラショナルの二の舞いを避ける。ただし,「Cittera」の商標は他社が登録済みだったため,日本独自の製品名を付ける。

 Citteraの最大の売り物は,ネットワークを介して複数の拠点にいる開発者が一つの設計モデルを共有するコラボレーション機能。ある拠点の開発者が加えて変更を,リアルタイムで他の拠点にも反映する。「こうした機能を備える製品は,ほかにない」とキャニオンブルーのN・ヴェヌ・ゴパル ディレクタは主張する。

 オージス総研はCitteraをアプリケーション・サービスとして販売する。利用料金は,1ユーザー当たり月間2万5000~3万円程度になる見通し。「プロジェクトに参加する人数に応じて,契約数を調整すれば,無駄なく導入できる」(キャニオンブルーのゴパル ディレクタ)という。

大和田 尚孝=日経コンピュータ

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