日本IBMは4月24日,UNIX OS「AIX」の新バージョン「AIX 5L for POWER V5.1」を発表した。LinuxのAPIを装備しており,既存のLinuxアプリケーションも再コンパイルするだけで実行できる。「製品名の末尾にある“L”は,Linuxの“L”。大半のLinuxアプリケーションは再コンパイルするだけで実行できるだろう。ただし,インテル・プロセサのデータ処理方式(リトル・エンディアン)に依存したLinuxアプリケーションは,ソース・コードに修正を加える必要がある」(日本IBMの野村宣生Webサーバー製品事業部製品企画担当)と言う。

 AIX 5Lは,インテルのIA-64プロセサ「Itanium」上でも動作する。今回発表したのはPOWERプロセサ版だが,Itanium搭載サーバーが製品化され次第,IA-64プロセサ版AIX 5Lの出荷も開始する予定。「IA-64プロセサ版は,他のサーバー・メーカーにも提供していく方針。業界の標準OSになるよう育てていきたい」と,日本IBMの小出伸一システム製品事業部長は意気込む。

 併せて日本IBMは,AIX 5Lを搭載するUNIXサーバーの中型機として「e server pSeries 620」と「同660」を発表した。どちらもプロセサとして「RS64 IV」を搭載する。「価格性能比も,当社の既存製品の1.5倍に向上させた」(日本IBMの東上征司Webサーバー製品事業部長)。

 IBMはpSeries 620と同660を,サン・マイクロシステムズが4月9日に発表したミッドレンジ・サーバー「SunFireサーバー」の対抗機と位置付けている。東上事業部長は「SunFireの下位機『SunFire3800』と620はほぼ同等の性能を持つ。しかし価格は620の方が40%ほど安い。サンはSunFireでミッション・クリティカルな分野に進出するというが,この分野での経験はIBMの方が豊富だ」とサン追撃に自信を見せる。

 なお,日立製作所もIBMと同じ4月24日,pSeries 620と同660を含むpSeries7モデルを自社ブランドで発売すると発表した。日立は2001年3月13日に米IBMと提携し,pSeriesのOEM供給を受けることを決めた。今回の発表は,その第一弾である。

森 永輔=日経コンピュータ

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