NECは2001年10月1日付で,NECソフトをはじめとするSE子会社を再編する。現在16社ある「NECソフトウェア」グループのうち10社を2社に統合する。NECのコンピュータ部門であるNECソリューションズの金杉明信社長は,「システム・インテグレーション(SI)事業を支えるのはSE。そのSEを成長分野に集中させることが再編の目的」と説明する。

 再編の第一は,NECソフトウェア新潟,NECソフトウェア長野,NECソフトウェア静岡の3社を,NECソフトと合併すること。「2000年から顕著になってきた,首都圏におけるSI需要の増加に対応する」(金杉社長)。併せて,現在はNECの100%子会社であるNECソフトウェア沖縄をNECソフトの子会社にする。

 NECソフトによれば,日本全体のSI需要の70%が首都圏に集中しており,今後も需要が拡大する見込み。そこで,関東地区をカバーしているNECソフトに,隣り合うエリアの3社を統合してSE不足を解消する。合併する4社を合計した2001年3月期の売上高は785億円(見込み)。合併後は,2002年3月期に892億円,2004年3月期に1300億円に伸ばす計画である。従業員も,2001年3月末の合計4669人から,2002年3月末までに5000人,2004年3月末までに5400人に増やす。

 再編の第二は,NECソフトウェア関西,NECソフトウェア神戸,NECソフトウェア岡山,NECソフトウェア中国,NECソフトウェア四国の5社を合併して,新会社「NECシステムテクノロジー(予定)」を発足させること。これら5社はソフトウエア製品の開発が事業の中心であり,その開発技術者を,「今後,成長が見込まれるネットワークとモバイル関連の分野に集中させる」(金杉社長)。

 NECが中国の中科院軟件研究所と合弁で,中国に設立したソフトウエア開発会社NECASも,「今期中に新会社に合併する」(金杉社長)。さらに新会社は,米国にも研究開発拠点を設置する。シアトル(ワシントン州)とサンノゼ(カリフォルニア州)の2カ所を予定している。
 
 NECシステムテクノロジーを構成する5社の2001年3月期の合計売上高は581億円(見込み),従業員は合計3480人。これを合併後は,2002年3月期に610億円と3500人,2004年3月期に800億円と4000人にすることを目指す。「できるだけ早く上場することを期待している」(金杉社長)。

 NECソフトウェア・グループにはこのほかに,NECソフトウェア北海道,NECソフトウェア青森,NECソフトウェア東北,NECソフトウェア北陸,NECソフトウェア中部,NECソフトウェア九州の6社がある。これら6社については,今後,それぞれ現地の関連会社やソフトウエア会社との統合,合併などがあり得るとみて,今回の再編の対象からは外したという。(中村 正弘=日経コンピュータ

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