米ビトリアのチャンCEO 「今後の企業情報システムで焦点になるのは,ビジネス・プロセス・モデリングだ」。EAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ソフト大手,米ビトリア・テクノロジーズ(http://www.vitria.com/)のジョーメイ・チャン社長兼CEO(最高経営責任者)が日経コンピュータ記者と会見し,こう指摘した。

 ビジネス・プロセス・モデリングとは,企業の業務プロセスをモデルの形に表現しておき,このモデルを使ってビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)やプロセスの自動処理を進めるものだ。こうした一連のアプローチを,ビジネス・プロセス・マネジメントともいう。

 製造業であれば,販売店からの注文の受け付け,在庫の確認,製造部門への指示,資材供給会社への発注といった一連のプロセスが存在する。こうしたプロセスをモデルとして設計し,情報システム上に実装。重要な判断を除いては,人手を介さずに処理を進められるようにしていく。

 多くの企業は注文の送受信や在庫の確認といった業務については,EDI(電子データ交換)システムや在庫管理システムを稼働させている。しかし,こうしたシステムを連携させて,一連のプロセスを自動化している企業は,「一部の先進企業を除き,まだまだ少ないと言って良い。各システムの間で人手の作業が介在している。ここに大きな改善の余地がある」(チャンCEO)。

 ビトリアのEAIソフト「BusinessWare」は,ビジネス・プロセス・モデリングを実施し,プロセスを自動化するための各種の機能を盛り込んでいる。まず,プロセス・モデルを定義する機能がある。グラフィカル・ユーザー・インタフェースを使ってプロセスを定義し,プロセスの処理内容を記述していくと,Javaプログラムを自動生成できる。

 BusinessWareは,各プロセスで必要なデータを集めてくる,EAIソフトとしての機能を持つ。「社内外のシステムとデータを交換するための連携機能や,設定したルールに基づいてデータを変換したり,送信先のシステムを切り替える機能を用意してある。こうした機能が,ビジネス・プロセスのマネジメントに不可欠だ」(チャンCEO)。さらに,BusinessWareはプロセス通りに処理が実行されているかどうかを監視するモニタリング機能まで備えている。

 欧米では,石油大手の英BPアモコやネットワーク機器大手の米スリーコムといった企業がBusinessWareを使って,プロセスの自動化を図っているという。

高下 義弘=日経コンピュータ