米ノベル(http://www.novell.com/)はディレクトリ・サービスを提供する中核ソフト「NDS eDirectory」のさらなる普及に向けて,コンサルティング・サービスに注力していく方針を打ち出した。ノベルのコンサルティング部門を増強し,顧客企業のマネジメント層にもディレクトリ・サービスが持つ力を理解してもらうよう働きかけていく。コンサルティング事業強化の一環として,ノベルは3月12日にシステム・コンサルティング会社のケンブリッジテクノロジーパートナーズ(http://www.ctp.com/)の買収を発表している。

 米ノベルのポール・スマート ネットディレクトリサービス担当副社長兼ジェネラルマネージャー(写真)は,ディレクトリ・サービスを有効に活用すると,企業の合併や業務の外部委託がスムーズに進むという。

 ただでさえ,企業はたくさんのネットワークを抱えている。「取引先と結んだエクトラネット,社内のイントラネット,顧客向けのインターネットといった3種類のネットワークを個別に管理するとコストがかかる。ネットワークを統一的に管理するシステム基盤として,ディレクトリ・サービスを導入するべき」とスマート副社長兼ジェネラルマネージャーは話す。

 「合併を繰り返した結果,140種類もの業務アプリケーションを使わなければならなくなった企業があった。しかし,eDirectoryによって,顧客企業はすべてのアプリケーションにシングル・サインオンでアクセスでき,パスワードの管理や変更の手間が少なくて済んでいる」(スマート副社長兼ジェネラルマネージャー)。米ノベルがある業務を外注した例では,「外注先の企業のユーザーが,ノベル社内のeDirectoryにログオンする形式をとり,短期間で相互に連携する仕組みを構築できた」(同)。

 ところが,「これまでディレクトリ・サービスはシステムの基盤技術として,専門家には理解されているものの,顧客企業の経営陣にとっては魅力的なものに見えていなかった」(米ノベルのベン・アンダーソン ネットディレクトリサービス担当副社長兼プロダクト・マネジメント)。そこで,コンサルティング・サービスを強化することにした。

 さらに4月末には,eDirectoryとWebページを連携させる新製品「iChain」を国内でも出荷する。eDirectoryで設定したユーザーのアクセス権限に応じて,Webページを個別に生成できる。ユーザーは複数のサービスを一つのWebから利用することが可能で,認証も一度で済む。ノベルは新製品の投入で,eDirectoryを導入するメリットをさらに高めていく考えである。

坂口 裕一=日経コンピュータ

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