エントラストジャパン(http://www.entrust.co.jp/)は4月3日,民間の事業者が政府機関へ電子申請するために利用する電子認証ソフト「Entrust PKI eGovernment Edition」の出荷を始めた。民間事業者は同製品を利用すると,電子認証のための「認証局」を構築でき,政府機関に対する電子申請に必要な「デジタル証明書」を発行できる。

 「電子署名法が4月から施行したため,電子申請の普及が予想される。そこで電子政府に特化した製品を加えることにした」とエントラストジャパン コンサルタント部の浦山清治シニア・コンサルタントは説明する。Entrust PKI eGovernment Editionの動作OSはWindows NT,Solaris,HP-UX,AIX。価格は個別見積もりになる。

 PKI eGovernment Editionが発行するデジタル証明書は,電子申請の際に申請データに添付する「電子署名」が正当なものであると保証するためのもの。PKI eGovernment Editionには,デジタル証明書の書式や,政府が運営する「ブリッジ認証局」と相互認証するための仕組みも含まれている。

 ブリッジ認証局とは,各省庁と民間企業の間に設置されるもの。PKI eGovernment Editionを使った民間企業の認証局は,ブリッジ認証局を介して,各省庁が独自に運営する認証局と接続し,各省庁の認証局とデジタル証明書の有効性を相互確認できる。この仕組みを利用することで,一つのデジタル証明書を取得するだけで,さまざまな省庁に対して電子申請が可能になる。

 エントラストは新製品の発表に加えて,システム・インテグレータ6社と認証局を構築する業務に関して提携した。電子政府向けの製品に加えて,企業向けの電子認証ソフトも提供し,電子認証システムの構築を支援する。「IT書面一括法によって,企業が今まで紙を使って出力する必要のあった顧客の利用明細書などが電子化できるようになった。電子化する場合,データの信頼性を保証する認証局が必要になる。今後,認証局を構築するニーズが企業からも高まることを想定して,システム・インテグレータと提携した」と浦山氏は説明する。

 提携したのは,アイティフォー(http://www.itfor.co.jp/),アクシオ(http://www.axio.co.jp/),KDDI(http://www.kddi.com/),ソフトバンク・コマース(http://www.commerce.softbank.co.jp/),日本総合研究所(http://www.jri.co.jp/),日立システムアンドサービス(http://www.hitachi-system.co.jp/)。(西村 崇=日経コンピュータ