インターネット上で通信販売サービスを手掛ける企業は,6月1日に改正施行される訪問販売法(名称が「特定商取引に関する法律」に変更)の内容を知っておくべきだ。改正法では,インターネット通販サイトにおいて,商品申し込みの確認画面の設定が義務づけられる。消費者が注文データを送信する前に,その中身を確認できなければならない。

 確認画面の設定が義務づけられたのは,インターネット通販に絡むトラブルが急増しているからだ。一部の通販サイトやアダルト・サイトでは,一見無料に思える申し込みが実は有料であるような詐欺まがいの行為が横行している。「消費者の誤解を生みやすい申し込み画面を設定している会社は今後,改善命令や業務停止といった行政処分の対象になりえる」(日本通信販売協会の万場徹理事)。

 今回の法改正は,こうした詐欺まがいの通販サイトを減らす目的で実施されたと言える。とはいえ,通常のインターネット通販会社にとっても,あらためてサイトの申し込み画面を見直してみる良い機会になる。

 さらに申し込み画面の見直しに加えて,商品の金額や配達時期,支払い方法や支払い期限,返品の有無といった取引条件に関する情報が,サイトにきちんと表示されているかどうかについても確認すべきだ。こうした取引条件の記述は現行の訪問販売法ですでに義務づけられている。ところが,新規参入が相次いでいるインターネット通販会社の場合,こうした記述が漏れている場合が多かった。

 「取引条件の記述が欠けていたり,申し込み画面が分かりにくいと,消費者からの問い合わせメールが会社に殺到することになる。その対応の手間を減らすためにも,インターネット通販会社はサイトをもう一度見直してみるべきだろう」と万場理事は指摘している。(川又 英紀=日経コンピュータ