「これまで私は日本企業の弱さを強くする提案ばかりやってきた。しかし,コンサルタントの仕事をして多くの企業経営者の悩みを聞いて,眼から鱗が落ちた。日本企業が本来持っている強さを梃子にして,世界でリーダーシップをとる戦略がこれまで足りなかった。今後は,日本企業の強さを倍に,弱さも改善していく提案をしていきたい」。3月15日付で,i2テクノロジーズ・ジャパン(http://www.i2j.co.jp)の社長に就任した中根滋氏はこう語る。

 中根社長は日本IBMを経て,1993年からSAPジャパンの社長に転じ,1999年からプライスウォーターハウスクーパース コンサルタントの常務を務めていた。SAPジャパン時代には,「SAPのアプリケーション・ソフトR/3を導入して,企業の情報システムをあらゆるデータをリアルタイム処理できる形に変えるべきだ」と主張してきた。しかし,日本ではR/3ですべての既存システムを一気に置き換える方式の導入はなかなか進まなかった。

 このため,i2のソフトを販売するにあたっては,提案内容を変える。「顧客がもっとも改革しなければならない点だけをまず改善するよう提案する。特に,日本企業の強みである生産工程の一層の改善に取り組む。それ以外の既存の基幹系システムはそのまま残しておく。新規に入れたi2製品は,基幹系システムを接続すればよい」(中根社長)。(谷島 宣之=日経コンピュータ)