「W-CDMAやcdma2000など,第3世代(次世代)の携帯電話を普及させる上で,日本が果たす役割は極めて重要だ。日本が世界の携帯電話市場を引っ張っていくことは間違いない」。ネットワーク機器メーカー米レッドバックネットワークス(http://www.redback.com/)の,チャールズ・ハーベイ ワイヤレス事業部マーケティングディレクターは3月1日,日本法人の事業戦略発表会の席上で,こう語った。ハーベイ・ディレクターは以前,スウェーデンのエリクソンに勤務し,第2世代と呼ばれる現行の携帯電話を韓国や香港に普及させた実績を持つ。
ハーベイ・ディレクターは,「日本には,携帯電話向けの新しいビジネス・アプリケーションが次々登場する,世界一の環境が整いつつある」と見る。その根拠は,「日本では次世代携帯電話の二つの通信方式が競合する」からだという。二つとは,NTTドコモ・グループとJ-フォン・グループが提供するW-CDMA方式と,KDDIグループが提供するcdma2000方式である。
ハーベイ・ディレクターの考えはこうだ。「各社は次世代携帯電話で位置情報サービス機能を提供するが,競合が激しくなるだけに,その活用方法を競い合うようになる。その結果,携帯電話利用者の所在地に応じて最適な情報を提供する,マーケティング用のアプリケーションが多数実用化される」。
「例えば,石油会社は,ガソリン・スタンド付近にいる人の携帯電話にガソリンを格安販売するクーポン券を送ることが可能になる。これ以外にも,二つの通信方式が競合することで,今まで誰もが考えつかなかったアプリケーションがたくさん登場するだろう」(ハーベイ・ディレクター)。(栗原 雅=日経コンピュータ編集)