「インターネットが誕生した頃の主な利用方法は,大学などの研究開発者が情報を交換することだった。現在でも,インターネットは研究開発者が情報を交換する手段として利用価値が高い」。こう話すのは,米SASインスティチュートの子会社,米アイバイオマティックスのリー・エバンス社長である。アイバイオマティックスは,2月20日から,製薬会社の研究開発者に向けた情報共有サービス「iBiomatics Informatics Platform」を,SASインスティチュート ジャパン(http://www.sas.com/japan/)を経由で提供していく。

 iBiomatics Informatics Platformは,研究者ごとに専用のポータル画面を用意して,医薬品の成分に関する情報や臨床試験の結果を閲覧できるようにする。共有するデータは,アイバイオマティックスのデータセンターにアップロードする。複数の会社が一つの新薬の製品化に携わることが多い製薬会社の開発事情に合わせたサービスという。

 「欧米で発売されている新薬の約半数が,複数の製薬会社が研究作業を引き継ぐやり方で開発されている。日本においても情報共有サービスを利用することで,新薬を製品化させるまでの時間を大幅に短縮できる」とエバンス社長は話す。

 アイバイオマティックスは,米SASインスティチュートの医薬品関連部門が2000年5月に独立した企業。新薬の臨床試験データなどの管理や分析といった製薬会社向けのソフト製品やサービスを手がけている。(西村 崇=日経コンピュータ