「3年前にXML(拡張マークアップ・ランゲージ)が注目され始めたときの宣伝文句には『hype(誇張)』が交じっていた。こうしたこともあって,XMLは現在,ベンダーやマスコミが当時期待していたほどには普及していない」--。欧米でXMLビジネス・ソリューションを手がけている,米シルバーストリーム・ソフトウエア(http://www.silverstream.com/)のエドワード・バジェンB2B部門ビジネス開発担当副社長は語る。

 バジェン副社長は,「欧米ではすでにユーザー企業3000社がXMLを利用しており,すべてのソフト・ベンダーがXMLを採用している」と前置きした上で,「当時のマスコミやベンダーがXMLはEDIを駆逐すると喧伝していたのは明らかに誇張だった」と認める。

 XMLの普及が滞っている理由をバジェン副社長は3点指摘する。一つ目は,“標準”が乱立していること。「ほとんどアナーキー(無政府)に近い状態だった」と語る。二つ目はセキュリティの問題。XMLはデータの可読性が高いため,高度な暗号化技術が不可欠。だがこれまでは十分ではなかったという。

 三つ目はXMLデータを格納し,高速に検索するための環境が整っていなかったこと。「各企業にXMLデータを直接扱えるような『XMLデータベース』が必要になる。XMLデータベース製品がいくつか販売されていたが,製品としてまだ成熟していなかった」(バジェン副社長)。

 しかし,バジェン副社長は,「どんな技術も期待通りには普及しないものだ。インターネットも当初はそうだった」と楽観視する。「XMLがEDIを駆逐することはないが今後,XMLに対する企業の投資額の伸びは,EDIへの投資額の伸びをはるかに上回るはずだ。インターネットがある限り,XMLが不要になることはあり得ない」(バジェン副社長)からだ。

中條 将典=日経コンピュータ