有線ブロードネットワークスの宇野社長 有線放送最大手の有線ブロードネットワークス(http://www.usen.com/)は14日,各家庭まで光ファイバで結ぶインターネット接続サービス「BROAD-GATE 01」の料金体系を正式発表した。通信速度は最大100Mビット/秒。月額料金は6100円とADSL並みの料金を実現した。初期料金は3万3000円である。3月1日から,東京都渋谷区と世田谷区の一部でサービスの提供を開始。その後,順次,サービス提供地域を拡大する。

 有線ブロードの「BROAD-GATE 01」は,NTT東西地域会社が試験提供しているFTTHサービス「光・IP網接続サービス」の半額以下だ。光・IP網接続サービスは,基本メニューでも月額1万3800円かかる上に,別途インターネット・サービス・プロバイダに接続料を支払う必要がある。

 月額6100円の料金の内訳は,基本料金が4900円,光ファイバをパソコンに接続するための回線終端装置(「専用モデム」と呼ぶ)のレンタル料が900円,有線ブロードが提供する音楽・動画コンテンツの基本利用料金が300円である。各家庭ではパソコンを同時に5台まで接続できる。

 このほか,有線ブロードは,基本料金が9800円の企業向けメニューも用意する。基本料金の枠内で,パソコンを同時に10台まで接続できる。追加料金を支払えば,同時接続台数を増やすことが可能である。

 最大100Mビット/秒のサービスを,月額6100円で実現できた理由を加茂正治副社長はこう話す。「理由は二つある。通常のLANと同じ設備や技術を使い,既存のネットワーク製品をほぼそのまま流用する。このため,設備コストが安く済む。もう一つは,全国に3000人いる営業部隊をフルに活用することで,設備投資を早期に回収できる」。有線ブロードの宇野康秀社長(写真)も,「この料金設定でも十分事業として成り立つ」と強調する。加えて「お金儲けという面よりも日本の新しいブロードバンド社会を切り開きたいという側面の方が大きい」と語る。

 ただし,有線ブロードのFTTHサービスは,常に100Mビット/秒の速度が出るわけではない。複数のユーザーで,有線ブロードのセンターとインターネットを結ぶバックボーン回線を共有するからだ。それでも有線ブロードの加茂副社長は,「インターネットまでの実効速度は,少なくともADSLの最大1.5Mビット/秒以上は確保する。2Mビット/秒と考えてもらって良い」と主張する。

高下 義弘=日経コンピュータ編集