ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンのネメック上級副社長 「米国のネットバブルは弾けた。多くのドットコム企業が淘汰され,インターネット・ビジネス専門の新興コンサルティング会社も青息吐息だ」。米大手コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで,e-ビジネス・グループを率いるジョセフ・ネメック上級副社長は,米国のインターネット・ベンチャ,とコンサルティング業界の現状に関して,こう指摘した。

 ネメック上級副社長によると,1999年から2000年にかけて,同社やアンダーセン・コンサルティングなど大手のコンサルティング会社から多くの人材が,ドットコム企業やインターネット専業コンサルティング会社に転職した。しかし,ネット・バブルの崩壊後は,転職した人材が,大手コンサルティング会社などに“復帰”するケースが目立つという。ネメック上級副社長は冗談めかして語る。「2001年はBtoCの年になる。と言っても対個人電子商取引ではない。バック・トゥ・コンサルティングの略だ」。

 「インターネット専門のコンサルティング会社は,立派なサイトを構築し,新しいビジネス・モデルを作り出すことには長けていた。しかしビジネス・モデルの創出は,誰でもできる。問題はそこから利益を生み出すスキーマを作り出せるかどうかだ。それができなかったドットコム企業は生き延びられなかったし,それを支援できなかったコンサルティング会社もまたしかりである」(ネメック上級副社長)。

 インターネット専門のコンサルティング会社に関しては,大手のiXLが日本法人の閉鎖を含むリストラを断行し,サイエントやマーチファーストも人員削減に踏み切る。顧客であるドットコム企業の不振が,これらのコンサルティング会社を直撃した格好だ。しかしネメック上級副社長は「本質的な問題は,これらのコンサルティング会社に業界の知識や,業務を低コストで運用するノウハウなど,リアルのビジネスに関する蓄積が少なかったことにある」と指摘する。

小林 暢子=日経コンピュータ