パソコン出荷台数が1100万台を突破--。電子情報技術産業協会(JEITA,http://www.jeita.or.jp/)が2月5日に発表した,国内における2000年1~12月のパソコン出荷台数は,対前年比25%増の高い伸びを示し,1155万4000台になった。「インターネットと電子メールが普及し,一般消費者がパソコンを購入する機会が増えた。一般消費者が購入したパソコンの台数は,昨年よりも50%弱増加した」と,JEITAのパーソナルコンピュータ事業委員会副委員長を務める日立製作所の木村政孝氏は分析する。一方で,企業向けは不調で前年比約10%の伸びにとどまった。「2000年問題によるパソコンの買い控えが響いた」(木村副委員長)。

 パソコンの年間出荷台数が1000万台を超えるのは,JEITAの前身の日本電子工業振興協会(JEIDA)時代を通じて初めて。ただし,JEITAの調査結果は,同協会に加盟するメーカー17社の申告値を合計したもの。コンパックコンピュータやデルコンピュータ,ソーテックなどの非加盟メーカーの実績は含まれておらず,「全市場に対する補足率は90%程度」とされている。民間調査機関のほとんどは,「国内のパソコン出荷台数は,1999年実績で1000万台を超えた」と推測していた。

 JEITAが発表した出荷台数の内訳をみると,デスクトップ・パソコンが578万7000台,ポータブル・パソコン(ノート・パソコンとほぼ同義)が576万7000台とほぼ同数だった。ポータブル・パソコンは前年比33%増の伸びを示し,同19%だったデスクトップ・パソコンに並んだ。

 ポータブル・パソコンの出荷台数が伸びた理由として,JEITAは,液晶ディスプレイのコスト・ダウンによって,ポータブル・パソコンの価格が全体的に下がったことを挙げる。2000年第3四半期(10~12月)におけるポータブル・パソコンの平均価格は,第2四半期(7~9月)よりも11%低下して18万8000円となった。

 JEITAは,2000年4月から2001年3月までの2000年度のパソコン出荷台数は,最終的に1200万台(前年度比21%増)になると見積もる。さらに2001年度は1360万台という強気の予想をする。「今後も一般消費者向けを中心に,パソコンの需要は伸びる。企業向けも,中堅中小企業のニーズが今後高まる」(JEITAの木村氏)と読む。米国パソコン市場の減速傾向が鮮明になってきたなか,国内市場がどこまで踏ん張れるかが注目される。

西村 崇=日経コンピュータ

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