日本アイ・ビー・エムが,クライアント分野におけるLinuxの普及に力を入れ始めた。3月から,Linuxをプリインストールしたノート・パソコンをLinuxディストリビュータ経由で販売する。日本IBMの堀田一芙常務は,「大学や研究機関でLinuxをノート・パソコンに載せて使いたいというニーズが強い。2001年をLinuxのクライアント元年にしたい」と意気込みを語る。

 3月から,Linux搭載ノート機の販売を始めるのは,Linuxディストリビュータ大手のターボリナックス ジャパン。IBMのB5ファイル・サイズのノート・パソコン「ThinkPad i Series 1620」を,ターボリナックスのWebサイトで販売する(http://www.turbolinux.co.jp/online_shop/)。

 このパソコンには,ターボリナックスのLinuxディストリビューション「TurboLinux Workstation6.0日本語版」と「Windows Me」の2種類のOSをプリインストールする。さらに,Linux用オフィス・スイート「Applixware Office for Linux5.0」と,IBM製の各種Linux用アプリケーションの試用版を添付する。日本IBMは2001年4月から入社する新人約600人にこのノート機を支給する。

 ただし,堀田常務によると,「IBM自身がLinuxをプリインストールして販売することは現段階では考えていない。Linuxのサポート体制ができあがっていないからだ。問い合わせ対応などはターボリナックスにやってもらったほうがよいので,ハードウエアも売っていただくことにした。」。今後は,他のLinuxディストリビュータとも話をしていきたいという。

 ターボリナックスがLinuxを搭載したハードウエアを販売するのは,これが初めてである。「ノート・パソコンでLinuxを使いたいという要求は日本特有のもの。米国でも同じようなことをするかどうかは決まっていない」(小島國照ターボリナックス ジャパン社長)。

 今後,日本IBMは,ノート・パソコンの新製品を発表する際,Linuxの動作検証結果を同時に公表する(http://www.ibm.co.jp/linux/lsc/)。対象となるLinuxディストリビューションは,「TurboLinux Workstation6.0日本語版」「RedHat Linux6.2J」「RedHat Linux7.0J」の3種類である。(中村 正弘=日経コンピュータ

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