日本IBMは1月30日,企業間や企業対消費者間の電子商取引を実現するためのパッケージ・ソフト「WebSphere Commerce Suite V5.1」を2月28日から出荷する,と発表した。同ソフトは,仮想店舗の構築,店舗で販売する商品カタログや提示するコンテンツの作成,顧客特性に応じた画面表示(パーソナライゼーション),仮想店舗上のオークションやキャンペーンの実施,といった諸機能を一括して提供する。今年1月から日本IBMのソフトウエア部門の責任者に就任した,平井康文ソフトウェア事業部長は,「この製品の出荷を機に,システム構築サービスの拡充や,他社との協業体制の拡充に力を入れ,Webアプリケーション構築ソフト市場のリーダーになりたい」と抱負を語った。

 WebSphere Commerce Suite V5.1の特徴は,モバイル機器を使った電子商取引の機能と,マルチカルチャー機能の2点。iモード・サービスを使える携帯電話や,携帯情報端末(PDA)をから,電子商取引サイトを利用するための機能を提供する。各種のモバイル機器にメッセージを送信したり,Webサイト上のコンテンツを機器に応じて送信する機能などを備える。マルチカルチャー機能は,Webサイトにアクセスしてくる利用者がいる国や地域によって,商品カタログの表示言語,通貨,決済方法を自動的に切り替えるものだ。

 今回のバージョンから,WebSphere Commerce Suiteで動作するアプリケーションをすべてJavaで開発できるようになった。これまでは,画面生成やデータベースとデータのやり取りする部分は,IBM独自のマクロ言語で作成する必要があった。「Javaを導入することで,アプリケーションを部品化できるようになり,開発が容易になる。今後は,Javaコンポーネントを流通させる仕組みを,システム・インテグレータと協力して用意していきたい」と,ソフトウェア営業推進の大古俊輔部長は語る。

 WebSphere Commerce Suite V5.1には,Start Edition(135万9000円)とフル機能を備えたPro Edition(757万9000円)がある。Start Editionには,電子商取引サイトでのカタログ作成機能のほかに,サイト上で扱う商品や顧客を管理する機能を備える。Pro Editionはそれに加えて,パーソナライゼーションやオークションといった機能をWebサイト上で構築できる。Start EditionとPro EditionのWindows NT版,およびAIX版(Pro Editionのみ)は2月28日から出荷。さらに,Start EditionとPro EditionのWindows 2000版を3月30日から出荷する。

谷島 宣之,西村 崇=日経コンピュータ

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