日本オラクルが中心となって設立したLinuxディストリビュータ「ミラクルリナックス(http://www.miraclelinux.com/)」が,製品戦略を転換した。従来はオラクルのデーターベース・ソフトOracleを動作を前提に,製品開発とマーケティングをしてきたが,今後はOracle以外のソフトと組み合わせて利用することを前提に,製品を販売する。新製品の投入によって,ライセンス販売の拡大を狙う。

 その第一弾として二つの新製品を発売した。「Miracle Linux for PostgreSQL」と「Miracle Linux for Samba」である。いずれも3月1日から出荷する。普及を狙って,これら2製品の価格は,1万9800円に抑えた。Oracleの動作に特化した,従来のMiracle Linuxの価格は5万円だった。

 Miracle Linux for PostgreSQLは,オープン・ソースのデータベース・ソフトPostgreSQLを動作させることに特化したディストリビューション。PostgreSQLは,信頼性などの面でOracleよりも見劣りする面もあるが,Oracleの競合製品であることに変わりはない。ミラクルリナックスは,今回の製品化について,「Oracle8i Personal EditionやOrale LiteがLinuxに移植されてないための措置。システム規模が増大したときに,PostgreSQLからOracleに移行するためのガイドも,このディストリビューションには添付している」と説明している。

 もう一つのMiracle Linux for Sambaは,Linuxでファイル/プリント・サーバーを構築しようというニーズにこたえるもの。パラメータをSambaメニューに特化した。

 ミラクルリナックスは,「Oracleに適したLinuxを提供する」という方針を,今後も堅持するとしている。その証拠として,日本オラクルからOEM供給を受けたOracle8iを同梱する「Miracle Linux with Oracle8i Workgroup Server」を2月から販売することを挙げる。さらに同社は,今年第2四半期(4~6月)にも,Linuxの最新カーネルを搭載した大規模システム向けの「Miracle Linux Enterprise Editon」を発売する。

中村 建助=日経コンピュータ