サン・マイクロシステムズは1月25日,同社初のLinux搭載サーバー「Sun Cobalt Qube3J」を発売,アプライアンス・サーバー市場に本格参入した。Webサーバー,メール・サーバー,ファイル・サーバー,ファイアウオールなどとして利用できる。同時にサンは,「今後SolarisのLinux互換性を高めていく」(菅原敏明社長)意向も明らかにした。

 Sun Cobalt Qube3Jは,米サン・マイクロシステムズが2000年12月に買収を完了した米コバルト・ネットワークスのサーバー「Cobalt Qube2」の後継製品である。「アプライアンス・サーバー市場に参入する手っ取り早い手段として,市場のリーダーだったコバルトを買収した」(菅原社長)。コバルトの日本法人も,1月からサン日本法人の一部門「コバルト事業本部」となっている。

 アプライアンス・サーバーは,用途を限定することで導入を容易にし価格を抑えた専用サーバー製品。売り込み先は,サーバー管理の専門家を置くことができない,中小規模の企業やオフィス,学校,あるいは,それらのユーザー向けにサービスを提供する各種サービス・プロバイダである。

 これまでサンは,サービス・プロバイダ向けに,自社開発のプロセサ「SPARC」と自社製UNIX「Solaris」を搭載したサーバー製品「Netra」を販売していた。「ローエンド市場は,インテル製プロセサとLinuxを採用したコバルト製品のほうが競争力がある。導入してから最大15分でインターネットに接続できるなど,専門家がいらないサーバーとして売っていく。ただし,導入後に機能を追加するなどアプリケーションが変化していく場合には,従来通りNetraを薦める。今後はSolarisをLinux互換にし,Linuxで動くアプリケーションがSolarisでも動くようにしていく」(菅原社長)。

 これまでコバルト製品は米ミップス・テクノロジーズの「MIPS」プロセサを搭載していたが,今回のQube3Jからインテル製プロセサに切り替えた。外付けモデムやISDNだけでなく,DSL(デジタル加入者線)ルーターやケーブル・モデムによるインターネット接続も可能にした。アプリケーションの新バージョンやパッチを,サンのサイトからインターネットを介してダウンロードするためのソフトウエア「Cobalt BlueLinQ」も新たに組み込んだ。

 Sun Cobalt Qube3Jは当面,米コバルトと販売代理店契約を結んでいたアダムネット,エヌ・ティ・ティ・エムイー,東芝,日商エレクトロニクスが販売する。「サンの販売代理店のなかにもコバルト製品を売りたいと言っているところがあるので,今後数カ月かけてサン全体の代理店政策を最適化していきたい」(菅原社長)という。

中村 正弘=日経コンピュータ

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