コクヨの全額出資子会社である「カウネット」は1月22日から,文具などオフィス用品の通販事業「カウネット」を本格的に開始する。この事業分野で先行し100万社を超える顧客を獲得している,プラスの子会社「アスクル」を追撃する。2001年12月末までに200億円の売り上げを目指す。

 カウネットは主として,従業員30人前後の小規模企業や事業所を対象に事業を展開する。代金回収を委託する小売店(エージェント)を通じて12月18日から顧客開拓を始めており,すでに約7万社を獲得した。「アスクルの顧客を狙って売り込みをかけている。両方のカタログを入手して比較したいという積極的な反応が多い。年末までに顧客数を50万社に増やすことが目標だ」(岡田清之取締役)。

 カウネットは,コクヨをはじめ約220社の製品,約1万1000点を扱う。カタログ掲載品に占めるコクヨ製品の比率は27%。カウネット独自ブランドの製品も5%ある。

 注文は,インターネットの販売サイト(http://www.kaunet.com/)またはファクスで受け付ける。当面,北海道,沖縄,離島は対象外とする。18時までの受注品は翌日中に無料で配送する。配送拠点がある東京と大阪の一部地域では,11時までの受注品は当日配送する。1年以内に名古屋,仙台,福岡にも配送拠点を設け,当日配送が可能なエリアを拡大する計画である。現在アスクルは東京,大阪,仙台,福岡に配送拠点を持っている。

 カウネットと契約したエージェントは約3300社。アスクルのエージェントは現在1460社であり,この点ではカウネットが上回っている。アスクルは自社のエージェントに対して別の通販業者のエージェントになることを禁じているが,カウネットは重複してエージェントになることを認めている。

 カウネットの事業モデルでは,小売店に対して,卸売店(エリア・エージェント)が情報提供や教育を行う。約70社あるエリア・エージェントのうち,60社はコクヨ製品だけを扱う専業卸(総括店)である。これに対し,アスクルは,エリア・エージェントに相当する組織を持たない「中抜きモデル」を採用している。

 カウネット会長を兼務するコクヨの黒田康裕専務は,エリア・エージェントの必要性をこう説明する。「エージェントがどれだけ顧客を開拓できるかは,エリア・エージェントの力にかかっている。エリア・エージェントには顧客獲得の目標数を掲げさせており,達成できなかったらエリア・エージェントを降りてもらう」。
中村 正弘=日経コンピュータ

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