ヤフーは3月からオークション・サービス「Yahoo!オークション」の有料化に踏み切る。オークションの出品者や落札者に対して,利用料を徴収する。利用料は未定だが,月額数百円になる見通し。オークションの出品物は,これまで通り,無料で検索できるようにする。

 ヤフーはオークション・サービスを有料化する狙いとして,「毎月利用料を課金することで,本人確認を強化する」(広報部)ことを挙げている。ヤフーをはじめとするオークション・サイトでは,身元を偽った参加者による,商品の未着や代金の未入金といったトラブルが頻発しており,消費者団体や監督官庁から,本人確認の強化を要請されていた。非社会的な商品など,不適切な出品を規制するためにも,本人確認は必要となる。

 課金制度の導入までに,ヤフーは本人確認システムを構築する。クレジットカードの利用者に関しては,毎月利用料を課金して,決済が不能になった時点でオークションへの参加を打ち切る方針である。またクレジットカード以外の決済手段に使った本人確認手法も整備する予定である。

 今回の有料化は,ヤフーにとって新たな収益源の確保にもつながる。これまでヤフーは,サイトへの広告掲載料,Yahoo!ショッピングに出店する企業からの出店料,取引が成立した際の販売手数料などで収入を得ていた。しかしインターネット広告の出稿が全体として伸び悩む中,新しい収益源の確保を迫られていた。

 ヤフーは3月から開始する企業対個人(BtoC)オークション・サービスの「Yahoo!プレミアムオークション」でも,出品者から毎月の出店料と,落札代金の一定割合を徴収する。企業が在庫処分や販路の拡大を目指して,オークションを利用する例が増えており,従来もYahoo!オークションに企業が出品するケースがあった。プレミアムオークションでは多数の商品を一括出品できるようにして企業側の負担を減らす。さらに出品者が企業であることを明示し,落札者の信頼を得やすくする。競合するオークション・サイトのビッダーズなどは,BtoCを強化しており,これに対抗する狙いもあると見られる。

小林 暢子=日経コンピュータ

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