コンパックコンピュータ日本法人と日本アイ・ビー・エムが,それぞれの米国本社を巻き込んだ全世界的な提携関係の端緒を開くことになりそうだ。両社は,12月21日に記者会見し,IBMのメッセージ連携用ミドルウエア「MQSeries」と「MQSeries Integrator」をコンパックの無停止型コンピュータ「Compaq Nonstop Himalaya」に移植し,コンパックが国内で販売することを発表した。日本IBMで,インターネット・ビジネス向けソフトウエアの営業推進を担当する大古俊輔部長は,「今後はこの関係を,全世界レベルに拡大していきたい。米IBM幹部にコンパックとの提携についてこの話をしたところ,『何で日本だけでやるんだ。ぜひ全世界で進めたい話だ』と言われた。ワールドワイドの提携に発展させるのに,何の障害もない」と将来の展望を語った。コンパック側の担当者である酒井孝雄・東日本第四システム本部長も「コンパック側も,大歓迎」と,大古部長の投げた玉を打ち返した。

 日本IBMとコンパックとの提携が全世界規模に発展すると,日本IBMのソフトウエア部門にとって,全世界レベルの提携を主導する初めての“画期的”な経験になる。ミドルウエア製品のプラットフォーム拡張は米IBMが主導しており,日本IBMが口をさはむ余地はこれまでなかった。もちろん,コンパックのHimalaya部門にとっても,これと同じことが言える。

 MQSeriesのHimalayaへの移植には,米IBMのハーズレ研究所および米コンパックのクパチーノ研究所の技術者が協力する。米IBMが日本IBMの要望に理解を示した理由を大古部長は「メッセージ連携ソフトは24時間365日の稼働が求められる。Himalayaへの移植は,MQSeriesに大きなメリットをもたらすからだ」と説明する。コンパックも,他の現地法人に比べHimalayaの事業に貢献していることが,米コンパックの理解を引き出した。「UNIXサーバーのAlphaよりもHimalayaの事業規模が大きいのは,北米,ラテン・アメリカ,日本の3市場だけだ」(コンパックの岩宮好宏タンデム製品部長)という。

森 永輔=日経コンピュータ

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