電子認証システムをアジア地域への普及を目指す団体「アジアPKIフォーラム推進協議会」が12月15日に発足した。NEC,日立製作所,富士通,トヨタ自動車,三井物産の5社が中心となって活動し,電子政府や電子商取引などで必要になる電子認証システムをアジア地域全体で相互運用できるようにすることを目指す。協議会は他のアジア諸国や地域に対しても広く参加を呼びかける。すでに韓国とシンガポールの関連機関と協議を始めている。国内では,約80社が参加して,アジア地域内での電子認証システムを相互運用するための問題点を洗い出す。

 電子認証システムは,インターネット上の「身分証明書」にあたるデジタル証明書を使って,通信相手が本人かどうかを確認するための仕組み。基本技術として,「公開鍵基盤(PKI)」と呼ぶセキュリティ技術を利用する。アジア地域で電子認証システムを相互運用できれば,各国の企業と安全に電子商取引ができる。
 
 デジタル証明書の書式は国際標準で決められているが,証明書に記載するデータ項目や内容が電子認証システムによって異なる。このため現在は,異なる電子認証システム間の相互運用は,事実上難しかった。こうした問題を解決するため,アジアPKIフォーラム推進協議会は,システムの連携方法,デジタル証明書の仕様といった技術的な問題や,電子認証システムに関する国家間の法制度などについて検討していく予定だ。

西村 崇=日経コンピュータ

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