ロータスは2001年前半に,「Raven」のコード名で知られていたナレッジ・マネジメントの2製品を出荷する。まずユーザーが必要とする情報を統合的に表示するポータル製品「K-station」を2001年の1~2月に出荷。続いて2001年6月までに,文書内容を分析して類似文書を自動分類する機能を備える検索エンジン「Discovery Server」を出荷する見込みである。

 ロータスの安田誠社長が「ようやくナレッジ・マネジメント製品を出荷する運びとなった」と語るように,Ravenの製品化は遅れに遅れた。そもそもロータスは他のベンダーに先駆けてナレッジ・マネジメントの重要性を訴えた,“言い出しっぺ”だった。同社は1998年にはRavenの原型の開発に着手したものの,開発に手間取っていた。

 その間にロータスはノーツのクライアント製品にポータル機能を付加したり,共同作業ソフト「SameTime」を投入することで,「様々な情報源のデータを効率よく管理し,必要に応じて活用する」というナレッジ・マネジメントの概念を部分的には実現していた。しかし類似文書の自動分類機能を持つ検索エンジンという“本命”を世に問うことはなかなかできなかった。Ravenの開発が難航している間に,競合他社もナレッジ・マネジメント製品を続々と出荷したため,ロータスの先行メリットは,完全になくなった。

 しかしDiscovery Serverは後発のデメリットを覆す可能性を秘めている。類似文書の自動分類機能ももちろんだが,文書を検索すると「それに詳しい人は誰か」という情報を提示する「アフィニティ・マッピング」という,まったく新しい機能を備えているからだ。「個人に依存する知識まで管理できるナレッジ・マネジメント製品はほかにない」(安田社長)。

 ただし,ロータスは「発売直後から,ナレッジマネジメント製品が爆発的に売れるとは考えていない」(安田社長)。ナレッジマネジメントに対する理解が,ユーザー企業にも,販売を担うパートナ企業にも不足していると見ているからだ。このため,ロータスは「当面はノーツを大量導入している大企業を対象に,当社がコンサルティング・サービスを提供し,ナレッジ・マネジメント・システムの成功例を作り上げることに力を注ぐ」(安田社長)という。

小林 暢子=日経コンピュータ