日本オラクルは12月4日,リレーショナル・データベース(RDB)ソフトの価格体系を抜本的に改定した。従来の「同時ユーザー数」による課金体系を廃止して,インターネット・システム向けの「プロセッサ・ライセンス」と,社内システム向けの「指名ユーザー方式」の2種類からなる「Eビジネス・プライス」を新たに導入する。2001年1月1日の購入分から適用する。

 Eビジネス・プライスの売り物は,このうちのプロセッサ・ライセンスである。これはRDBを動かすハードが搭載するプロセサ数に応じて,ライセンス価格を決めるもの。主に,利用するユーザー数の特定が難しいインターネット・ビジネス向けシステムへの適用を想定している。

 プロセッサ・ライセンスでは,利用するハードのプロセサ数に応じて価格が決まる。1プロセサのシステムでOracleを運用している場合のライセンス料は,1280万円になる。「プロセサ数が増加するにつれて,1プロセサ当たりの料金が割安になっていく。このため複数プロセサを利用する大規模システムでも,ほとんどの場合は,従来よりも安い値段でオラクル製品を買うことができる」(日本オラクル)という。

 これまでインターネット・ビジネスにオラクルのRDB製品を使う場合,ユーザー数の多寡にかかわらず,ライセンス価格が一定の「特定ユーザー無制限アクセス・ライセンス」か,「不特定ユーザー インターネットアクセスライセンス」を購入する必要があった。これら二つのライセンス価格は,UNIX版製品ではほとんどの場合,8000万円を上回った。このため「オラクル製品は値段が高すぎる」との批判が多くの企業から挙がっていた。

 もう一つの指名ユーザー方式は,システムの利用権を持つユーザー数に応じて価格を決める。これに対して,従来の同時ユーザー方式の課金体系では,RDBへの同時接続者数に応じてライセンス価格が決めていた。

 プロセッサ・ライセンスと指名ユーザー方式の両体系では,どのようなOSやプロセサを利用していても,ライセンス価格を同一にした。従来はUNIX版のRDB製品は,Windows版やLinux版に比べて割高な価格設定になっていた。

 日本オラクルは新価格体系の導入に併せて,RDB製品の保守契約を変更する。標準で24時間365日のサポートを提供する。その代わりに,保守契約の料率を,1年当たりライセンス価格の15%から22%にアップする。日本オラクルによれば「ライセンス価格が値下がりするため,たとえ保守契約の料率が高くなっても,保守契約の絶対額は減るはず」としている。

 これまでオラクル製品を利用しているユーザーは,無理に新たな価格体系に移行する必要はない。日本オラクルの定める移行ルールに沿って新しいライセンス価格を計算したうえで,必要なら移行措置を取ればよい。

中村 建助=日経コンピュータ

IT Pro注:なお,RDBMS以外の製品については,すでに日本オラクルは9月下旬から出荷している「Oracle Internet Application Server 8i Standard Edition」でプロセッサ・ライセンスを,「Oracle E-Business Suite 11i」では指名ユーザー単位でのライセンスを適用している。
 また今回の発表に合わせて,開発ツール製品群を1つの製品「Internet Developer Suite」に統合することも発表された。「Pro*C」「Pro*COBOL」「Oracle Objects for OLE」も「Programmer」として統合する。

[発表資料]

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