電子メールを用いたカスタマ・リレーションシップ・マネジメント(CRM)ソフト大手の米カナと,カナと提携しているIBMは2001年に,それぞれ新しいCRMソフトを投入する。日本法人のカナ(http://www.kana.com/japan/)は2001年第1四半期に,ダイレクト・メール発信ソフト「Kana Connect」を発売する計画である。一方,日本アイ・ビー・エムは2001年中に,カナの電子メール返信支援ソフト「Kana Response」に,日本語解析機能を持つソフトを追加する。

 両社が出すのは,いずれもKana Responseと連携するソフト製品である。Kana Responseは,顧客からの電子メールによる問い合わせなどに答えるセンターのオペレータに対して,オペレータが効率よくメールを返信できる諸機能を提供する。
 カナが出すKana Connectは,Kana Responseがデータベースに蓄積した「顧客からの質問メール」を基に,特定の条件に合う顧客を抜き出し,これらの顧客に電子メールによるダイレクト・メール(DM)を自動発信できる。受け取った顧客がDMに添付されたURLをクリックしたかどうかなど,発信後の状況を追跡することも可能。このため,顧客の動向について仮説を立て,それを検証していくようなマーケティング活動に向くという。

 DM発信専用のソフトは従来からあるが,メール返信支援ソフトと連携できる製品は現時点ではない。カナと競合するNTTコムウェア(http://www.nttcom.co.jp/)も同様のソフト「eGain Campaign」(開発元は米イーゲイン・コミュニケーションズ)の製品化を急いでおり,2001年2月にも国内で発売する予定である。

 一方,日本IBMは,同社のコールセンター向けCRMソフトである「C3 for WAS(Customer Contact Center for Web Application Server)」上で,Kana Responseを提供しており,ここに日本IBMが自社開発した日本語解析機能を追加する。日本語解析機能とKana Responseを使うと,電子メールに書かれている問い合わせの内容を自動解析し最適なオペレータに割り振ったり,あらかじめ用意しておいた回答メールを自動返信するといったことができる。Kana Responseは米国で開発されており,こうした日本語解析機能を持っていなかった。

中村 正弘,坂口 裕一=日経コンピュータ