パソコン用周辺機器大手のメルコが,インターネット端末事業に参入した。インターネットを利用した物品販売や教育,コンテンツ配信などを手がけるサービス事業者向けに専用端末をOEMで開発し,それらの事業者経由で販売する。端末のOSとして,全面的にLinuxを採用する。

 メルコの牧誠社長は,「現在のパソコンやiモード携帯電話は,シニア層の利用者には操作や設定が難しすぎる。これが家庭へのインターネット普及を妨げる要因になっている」と指摘。今後は,「特定のサービス向けに開発したインターネット専用端末の市場が拡大すると」期待する。

 インターネット端末市場は大手メーカーの参入も予想されるが,「個々のサービス事業者の目的に合った端末を個別に開発しなければならないので,市場が細分化し,中品種中量生産になるだろう。こういった市場は必ずしも大手メーカーは得意ではなく,当社もじゅうぶん戦える」と牧社長は自信を見せる。端末の製造は,台湾などのメーカー数社に委託する。

 メルコは,ディスプレイ一体型,ディスプレイが別のシン・クライアント型,液晶ディスプレイを採用し持ち運びが容易なWebパッド型,テレビにつないで使うセットトップ・ボックス型など,さまざまな形状のインターネット端末をサービス事業者に提案する。電源を入れると最初からメニュー画面が立ち上がり,サービス事業者のサイトに自動的に接続されるように設定する。

 端末に搭載するソフトウエアはすべて,台湾の機器組み込みソフトウエアの開発会社であるインターネット・ソリューションズ・テクノロジー(IST)が開発する。日本語化はメルコが行う。サービス内容や利用者層に合わせてカスタマイズする必要があるので,Linuxをはじめ,Netscape CommunicatorなどWebブラウザ,メール・ソフトなど搭載するソフトウエアは基本的にソース・コードが公開されているものを使う。ISTは3年前から機器組み込み分野でLinuxを使う仕事をしており,台湾のメーカーとも取引があるという。「技術者は現在20人だが,1年以内に40~45人程度に増やす計画だ」(ISTのスティーブ・フライバーガー取締役)。今回の提携に合わせてメルコは,ISTに50万米ドルを出資した。

 メルコはインターネット端末事業の売上目標を,2003年度(2003年4月~2004年3月)に100億円としている。当初のスタッフは7人。2000年12月に,東京・秋葉原にショー・ルームを開設する。

中村 正弘=日経コンピュータ

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