米アマゾン・ドット・コムは明日11月1日から,国内でサービスを開始することが日経コンピュータの取材で明らかになった。同社のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が午後1時から都内で記者会見を開き,その場で日本でのサービス開始を正式に宣言する。サイト自体は,午前中からオープンする見通しで,現在米アマゾンのトップ・ページにリンクが貼られている「http://www.amazon.co.jp/ 」の内容を日本向けに切り替えるものと見られる。米アマゾンは「サービス開始と同時に正式発表」というポリシーを貫いているため,日本での事業展開についてこれまで一切コメントを出していなかった。

 アマゾンは,ブランド力に加えて,年内は送料を無料にするといった販売促進策を打ち出し,国内市場で先行他社を追撃する。オープンから当面の間は,洋書のギフト・ラッピングも無料で施す。まずは米国から輸入する洋書60万冊と,書籍取次の大阪屋などを通じて調達する和書30万冊を販売する見通し。来春以降,CDやDVDなどのAVソフト販売にも乗り出す計画と見られる。関係者によると,「関東圏に建設済みの流通センターを通して,顧客に商品を配送する仕組みはできている」という。アマソンはサービス開始後「3カ月で30万ユーザー獲得」という強気の目標を掲げているようだ。

 アマゾンの日本上陸は,かなり難航した。米国での急成長を支えた書籍のディスカウント販売を,再販制度の壁に阻まれ,日本には持ち込めなかったからだ。さらに流通や配送,決済などで協力を仰いだ企業との交渉もなかなか進展しなかった。

 そのため昨年末の段階で,アマゾンは,2000年春に日本向けのオークション・サイトを開始し,その後,書籍販売に乗り出す計画を立てた。しかし,「オークション・サイトとの交渉が決裂した」(関係者)ため,計画を断念した。さらに赤字経営から脱却できないアマゾンにとって,流通センターの設立などで莫大な投資を必要とする日本での事業展開は重荷だった。

 米アマゾンは1998年9月に「アマゾンジャパン株式会社」を登記し,複数の書籍取次会社や物流会社,出版社などと,日本での事業に関して交渉を重ねてきた。今年2月には,ピープルソフト ジャパンの創業メンバーだった長谷川純一氏を,「カントリー マネージャー」として招き入れ,スタッフを増強した。今年夏には新宿区内から渋谷区のオフィス・ビルにオフィスを移し,サービス開始に向けた準備を本格化させていた。

井上 理=日経コンピュータ