レベルスリー・コミュニケーションズ(http://www.level3.com/jp/)が10月20日から,低額の国際通信サービスを開始した。電話交換機を使わず,インターネット・プロトコル(IP)を使ってデータや音声を送ることで通信コストを引き下げ,「海外との通信費用が,既存の通信サービスの半額以下になるようにしていく」(古田興司社長)考えだ。

 新サービスの目玉は,「(3)CrossRoads」。光ファイバー・ケーブルを利用した国際通信サービスである。定額の料金制に加え,データを送信する地点と受信する地点との組み合わせによって,通信料金を決める料金体系を導入する。サービス開始当初は,同社の海外拠点との接続に,他の通信事業者と共有する光ファイバー・ケーブルを使用する。その後は,レベルスリー専用の光ファイバー・ケーブルに順次切り換えていく。第1弾として,2001年3月までに香港にある同社グループの通信拠点と,320Gビット/秒の帯域幅を持つ光ケーブルで接続する。さらに今後,最大2.56Tビット/秒まで拡張できるようにする。

 さらに,通信設備のホスティング・サービスや,国際専用線サービスも同時に開始する。国内のインターネット・サービス・プロバイダーに向けた,ダイヤル・アップ接続の管理を請け負うアウトソーシング・サービスも用意する。レベルスリーは低価格を武器に,日本のインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)やアプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)などに向けて,国際通信サービスを売り込んでいく。

 一連のサービスを開始するに当たり,東京都港区に総面積6000平方メートルの通信拠点を開設した。同社グループの海外拠点と光ファイバー・ケーブルで接続するためのゲートウエイ施設や,顧客からの通信機器を預かるデータセンターとして利用する。この通信拠点の電力容量は最大6000kVA。緊急時に備えるため,自家発電装置も用意し,6000kVAの電力容量を20時間供給できる能力を持つ。

 レベルスリーは電話交換機を一切置かず,IPを全面的に採用した通信回線を持つ通信事業者として注目されている。「IPに関する技術革新は目覚しく発展しており,1~2年たつとIPを使った通信機器の費用対効果が倍増する。技術革新によるコスト削減の結果,安価で高品質な通信サービスを実現できる」(古田社長)とする。

西村 崇=日経コンピュータ