今年は外資系ソフトウエア・ベンダーの社長交代の“当たり年”なのだろうか。今度はSCMソフト大手のi2テクノロジーズ・ジャパン(http://www.i2j.co.jp/)の渡辺邦昭代表取締役社長も11月1日付けで退任することが明らかにされた。同社は後任の社長を「年内には決定したい」としているが,現時点ではまったくの白紙状態である。後任が決まるまでの間は,米国本社のヘンク・ベーコー上級副社長が社長代行を務める。

 渡辺氏の退任は2週間ほど前に,社内に通知された。ただし,渡辺氏は数カ月前から腹を固めていた節もある。渡辺氏は今年7月,担当産業別に五つの事業部を設け,各事業部の営業本部長を権限の一部を委譲し始めていた。

 渡辺氏は退任の理由を明らかにしていない。今後の身の振り方も,今のところ,定かではない。ベンチャ・キャピタルやBtoBシステム関連のコンサルティング会社を設立するといった説から,大学教授に転身するという説まで,さまざまな憶測が飛び交っている。豊富な人脈と営業力を駆使して,i2テクノロジーズ・ジャパンを事実上立ち上げた渡辺氏だけに,今後の去就が注目される。

 渡辺氏はEDSシステムズ副社長などを経て,95年に当時の日本ディジタルイクイップメント社長に就任。その後,コンパックコンピュータとの合併を機に,同社を退き,1998年からi2テクノロジーズ・ジャパンの社長を務めていた。(戸川 尚樹=日経コンピュータ